【2025年記述式解説】コンクリート診断士の土木過去問を完全攻略!凍害×塩害×ASR複合劣化の解き方を現役受験生が徹底解説

資格勉強

どうも、補修補強会社で施工管理をしているエナガパパです。

今回は2025年のコンクリート診断士試験、記述式(土木)の過去問を丸ごと解説します。

2025年の問題は東北地方山間部の道路橋(橋台)が舞台で、A部の凍害×塩害とB部のASRという複合劣化が出題されました。

しかも「5年後の状態予測」という今までにない問いが加わり、かなり難易度が高い問題です。

問題の解き方・使うべきキーワード・回答例まで一気にまとめます。2026年の試験対策として、このパターンは頭に入れておいてください。

2025年の過去問解説にあたって、こちらの問題集を参考にさせていただいてます。

問題集を購入して、実際に写真や表を確認しながら、見てもらうとより理解しやすい構成になっています。


初めに問題の全体像を把握する

問題の設定(問題文の読み取り)

構造物の概要はこちら

項目内容
竣工年橋台(上り線)1976年・橋台(下り線)1974年
供用年数約50年(2025年時点)
場所東北地方山間部
環境条件日最低気温の月平均(1月)−2.4℃
A部の環境橋台パラペット部・南面・日当たり良好
B部の環境橋台ウイング部・西面・日当たり良くない
セメント種類A部・B部ともに普通ポルトランドセメント
使用骨材A部:川砂利・川砂(反応性あり)B部:砕石・砕砂
凍結防止剤散布あり
補修履歴なし

💬 現役受験生として

問題文と表を読んだ瞬間に

  • 「A部は川砂利+凍結防止剤散布=凍害と塩害の複合劣化
  • 「B部は亀甲状ひび割れ+白色析出物=ASR

という判断ができるかどうかがスタートラインです。

骨材の種類と環境条件は必ず最初にチェックしてください。


過去の調査結果の読み取り(表2・図3)

表2の読み取りポイント

調査項目A部近傍B部近傍読み取るべきこと
中性化深さ(2010年)30mm20mmA部の方が中性化が進行
かぶり(2010年)37mm41mmA部のかぶり残りは7mm(危険水域)
残存膨張量1990年0.05%未満0.15%B部でASRが進行中だった
残存膨張量2010年0.05%未満0.05%未満B部のASRは収束した

図3の読み取りポイント(塩化物イオン濃度)

A部近傍は表面から40mm付近で2.5kg/m³以上と腐食発生限界値(1.2kg/m³)を大きく超えています。

かぶり37mmと合わせると、鉄筋位置の塩化物イオン濃度が限界値を超えていることが確認できます。

B部近傍は表面付近で最大1.0kg/m³程度で、腐食発生限界値を下回っています。

🎯 試験のポイント

グラフを読むとき「かぶり位置の塩化物イオン濃度が1.2kg/m³を超えているか」を真っ先に確認します。

(1.2kg/m³は塩害において、重要な基準値になるので必ず覚えること。)

A部は明らかに超えており、B部は超えていないという対比が問1〜問3の回答に直結します。


問1の解き方 A部の変状原因を2つ推定する

メモ作りのステップ

前回の記事では、記述式を解くときに、いきなり書き出すのではなく、キーワードをピックアップし「初めにメモを作ること」の重要性について、解説しています。

▶︎【記述式攻略②】コンクリート診断士の記述式は最初の30分が重要!時間配分・メモ作りの手順・キーワードの使い方を現役受験生が実践解説

STEP1:A部に関する事実を書き出す

  1. 東北地方山間部・1月平均気温−2.4℃→寒冷地
  2. 南面で日当たり良好→凍結融解の繰り返しが多い
  3. 凍結防止剤の散布あり→塩分供給あり
  4. 川砂利・川砂使用→反応性骨材の可能性を疑う
  5. 写真1:粗骨材露出・錆汁・剥落・鉄筋露出
  6. 塩化物イオン濃度40mm付近で2.5kg/m³以上→腐食発生限界の1.2kg/m³超である。
  7. かぶり37mm・中性化深さ30mm→残り7mm(10mm以内である)

STEP2:原因の特定

日当たり良好な南面では昼夜の温度差が大きく凍結融解の繰り返し回数が多い→凍害

凍結防止剤の散布により塩化物イオンが供給され、腐食発生限界値を超えた→塩害

問題文に方角が出たり、直射日光が当たるような条件が出たら、必ず凍害を疑います。

凍結防止剤の使用があれば、「塩害とASRの可能性あり」と瞬時に浮かぶレベルが好ましいです。


問1の変状推定の回答例(凍害と塩害)

A部の変状原因として、凍結融解作用による凍害と凍結防止剤の散布による塩害による2つが影響度が高いと推定される。

本橋台は東北地方山間部に位置し、1月の日最低気温の月平均が−2.4℃と低い。A部は南面で日当たりが良好なため、昼間の融解と夜間の凍結が繰り返されやすい環境にある。この凍結融解の繰り返しにより、コンクリート組織が損傷し粗骨材の露出や剥落が生じたと推定される。

また、凍結防止剤が散布されており、融雪水とともに塩化物イオンがコンクリート内部に浸透している。図3より表面から40mm付近の全塩化物イオン量が2.5kg/m³以上であり、腐食発生限界値(1.2kg/m³)を大きく超えているため、鉄筋の不動態皮膜が破壊され腐食が進行していると判断される。写真1の錆汁・鉄筋露出はこれを裏付けている。」

🎯 使ったキーワード

凍結融解の繰り返し・凍害・凍結防止剤・塩化物イオン・腐食発生限界値(1.2kg/m³)・不動態皮膜の破壊・錆汁・鉄筋露出


問2の解き方 5年後のA部・B部の状態を推定する

問2が難しい理由

「5年後の状態予測」という問いは近年新しいパターンです。ポイントは「現状のデータから劣化の進行速度を読み取り、論理的に予測する」ことです。

私は調査の項目が苦手で、原因や対策は分かっても調査方法は悩むことが多いです。

例えば、具体的な調査方法で「SEM分析」や「リニアトラバース法」があったりします。しかし「鉄筋の腐食状況を確認する」みたいな具体的な調査名のないものもあります。

特に正解がはっきりしない項目です。その分多様な答えがあり、大きく外した調査方法でない限り減点も少なく感じます。


A部の5年後予測

現状の整理

  • 中性化深さ30mm・かぶり37mm→残り7mm
  • 塩化物イオン濃度は腐食発生限界値を大きく超過
  • 中性化フロントが鉄筋に到達する可能性が高い

予測のロジック

中性化フロント付近ではフリーデル氏塩が分解し固定塩化物イオンが遊離するため、有効塩化物イオン濃度がさらに上昇する。

5年後には中性化フロントが鉄筋位置に到達または近接し、腐食が急激に進行する可能性が高い。

B部の5年後予測

現状の整理

  • 残存膨張量:2010年で0.05%未満→ASR収束(0.1%未満のため)
  • 中性化深さ20mm・かぶり41mm→残り21mm(余裕あり)
  • 塩化物イオン濃度は腐食発生限界値以下

予測のロジック

ASRは2010年時点で収束していると判断できる。塩化物イオン量・中性化深さともにA部より安全側にあり、5年後も大きな変化はないと推定される。


実際の問2の回答例

「A部は中性化深さが2010年で30mmであり、かぶり37mmに対して残りが7mmと小さい。5年後には中性化フロントが鉄筋位置に到達または近接すると考えられる。中性化フロント付近ではフリーデル氏塩が分解し、固定されていた塩化物イオンが遊離・活性化される。これにより有効塩化物イオン濃度がさらに上昇し、鉄筋腐食が急激に進行すると推定される。また凍害によるコンクリートの組織損傷が継続し、塩化物イオンの浸透経路が拡大することで劣化が加速すると考えられる。

B部はアルカリシリカ反応による変状が確認されているが、2010年の残存膨張量が0.05%未満と小さく、ASRはほぼ収束していると判断できる。中性化深さは20mmでかぶり41mmに対して余裕があり、塩化物イオン量も表面付近で1.0kg/m³程度と腐食発生限界値を下回っている。5年後も大きな進行はないと推定されるが、引き続き経過観察が必要である。」

🎯 使ったキーワード

中性化フロント・フリーデル氏塩・固定塩化物イオンの遊離・残存膨張量・腐食発生限界値・経過観察


問3の解き方 今後20年供用するための対策を提案する

対策のフレームワーク

問3は「問1の原因」と「問2の予測」を踏まえた対策を提案します。必ず一貫性を持たせた回答が必要です。

また、A部とB部で対策が異なる点が採点のポイントになります。

ちなみに塩害の対策なら、ほぼ「断面修復工法」だと思ってください。それぐらい頻出対策項目です。

物理的にコンクリートの塩化物イオンを除去し、鉄筋の防錆処理もできる上に、比較的コスパの良い補修方法だからです。


A部の対策

考え方

凍害と塩害の両方に対応する必要があります。塩化物イオンが腐食発生限界値を大きく超えているため、汚染されたコンクリートを除去してから修復する「はつり取り+断面修復」が基本です。

対策の流れ

  1. 塩化物イオン量が小さい深さ(60mm程度)まではつり取り
  2. 鉄筋の防錆処理
  3. ポリマーセメントモルタルによる断面修復
  4. 防水設備の設置(水の供給を遮断)
  5. 表面保護工法(凍害・塩分の再浸入を防止)

B部の対策

考え方

ASRは2010年時点で収束しており、塩化物イオン量・中性化深さともに余裕があります。このまま経過観察で対応可能と判断できます。

対策の流れ

  1. ひび割れへの樹脂注入(ASRによる既存ひび割れの封止)
  2. 定期的な残存膨張量・塩化物イオン濃度のモニタリング
  3. 状態が悪化した場合に追加補修を検討

問3の回答例

「A部は全塩化物イオン量が表面から60mm程度で腐食発生限界値以下となることから、汚染されたコンクリートを60mm程度はつり取る。鉄筋の防錆処理を施した後、ポリマーセメントモルタルで断面修復を行う。凍害と塩害はいずれも水の供給が劣化を促進することから、防水設備を設置して水の供給を遮断することが最も重要な対策となる。さらに表面保護工法を施し、凍結防止剤由来の塩化物イオンおよび炭酸ガスの再浸入を抑制する。

B部はASRが収束しており、中性化深さ・塩化物イオン量ともに問題のないレベルであることから、今後20年の供用に際してはひび割れへの樹脂注入による封止を行い、水分の侵入を防ぐ。あわせて定期的な残存膨張量および塩化物イオン濃度のモニタリングを継続し、状態変化に応じて補修方針を見直す。

🎯 使ったキーワード

はつり取り・防錆処理・ポリマーセメントモルタル・断面修復・防水設備・水の供給の遮断・表面保護工法・樹脂注入・モニタリング・残存膨張量


2025年問題から学ぶ2026年試験への対策

2025年の問題を解いてみて、来年に向けて押さえておくべきポイントが3つ見えました。

①「5年後の状態予測」は今後も出る可能性が高い

単純な原因特定だけでなく「時間軸で劣化がどう進むか」を論理的に説明する練習が必要です。

中性化速度(√t則)や塩化物イオンの拡散係数を使った予測の考え方は押さえておきましょう。

②A部とB部で対策を使い分ける問題が増えている

一つの構造物に複数の劣化原因が混在するパターンは今後も続きます。「どちらが緊急度が高いか」という優先順位の判断が答案に反映できると高得点につながります。

③フリーデル氏塩と残存膨張量は必須キーワード

この2つは今回の問題で決定的に重要だったキーワードです。意味と使う場面を正確に説明できるようにしておいてください。

💬 現役受験生として

この問題を自分で解いてみたとき、問2の「5年後の状態予測」で手が止まりました。

「中性化フロントが鉄筋に到達する」という予測まではできましたが、そこからフリーデル氏塩の分解という論理まで繋げるのが難しかったです。

過去問の解答例を読んで、「この一言が加わるだけで説得力が全然違う」と感じました。


まとめ:2025年問題の解き方を一枚で整理

設問A部B部
問1(原因)凍害・塩害(複合)ASR
問2(5年後)中性化フロント到達・腐食急進ASR収束・大きな変化なし
問3(対策)はつり取り・断面修復・防水設備樹脂注入・モニタリング
重要キーワードフリーデル氏塩・腐食発生限界値1.2kg/m³残存膨張量・ASR収束

2025年の問題は正直、難しかったです。「5年後の状態予測」という新しい問いに加えて、A部とB部で全く異なる劣化が同時進行している複合問題。初見で完璧に書き切れる受験生はほとんどいないと思います。

でも、考えてみてください。

この問題を今、丁寧に解き直しているということは、本番前に「難しいパターン」を経験済みということです。フリーデル氏塩・残存膨張量・中性化フロントという言葉が今日頭に入ったなら、試験当日に同じ言葉が出てきたとき手が動くはずです。

補修補強の現場で毎日コンクリートを見ている私でも、記述式の「論理的な文章」に落とし込む練習は別物だと痛感しています。一緒に手を動かし続けましょう。

試験まで残り少ない時間、1問でも多く過去問を自分の言葉で書き切ってください。書いた分だけ、本番で手が動きます。

7月26日、一緒に合格しましょう。


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エナガパパ
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