
補修補強会社で施工管理をしているエナガパパです。
前回の記事では過去12年の出題傾向を分析して「塩害とASRの複合劣化を制すれば勝てる」という話をしました。
(興味のある方はこちら👇)
▶︎「前回の記事」コンクリート診断士の記述式完全攻略【過去12年出題傾向・勉強時間・独学vs講座を現役受験生が徹底解説】
今回はその次の話、「じゃあ実際に記述式をどうやって書くのか」という部分です。
過去問と解答例を何度も見ながら、実際に手を動かして気づいた「記述式を攻略するための書き方のコツと、本番の立ち回り方」を徹底解説します。
記述式への苦手意識がある方は、ここで一気に整理してしまいましょう。
結論!記述式で差がつく3つのポイント
最初に結論を言います。記述式で合格ラインを超えられる人は以下の3つができています。
①最初の30分でメモを作ってから書き始める
②「現象」ではなく「原因(メカニズム)」を書いている
③原因→調査→対策の論理が一貫している
逆に言えば、この3つさえできれば記述式は「書けない」から「書ける」に変わります。順番に説明していきます。
本番の時間配分と立ち回り方
黄金の時間配分は「60分・90分・30分」

試験時間はトータル180分です。「四肢択一60分・記述式90分・計算問題&見直し30分」でキッチリ分けるのが王道です。
歴代の合格者の経験から導きだした「時間配分&解く順番」の結論はこれです!
- (5分) ざっと記述式の問題を見ておく
- 60分 四肢択一(計算問題除く)
- 90分 記述式問題(1の問題を見る時間も含む)
- 30分 計算問題&見直し
択一を60分以内で切り上げて、記述の時間を絶対に死守してください。択一に時間をかけすぎて記述が雑になるのが一番避けたいパターンです。なぜなら、記述式には「足切りライン」があり、仮に四肢択一が満点でも不合格になることがあります。
記述式の「足切りライン」については、こちらの記事で詳細に語っています👇
▶︎コンクリート診断士の記述式完全攻略【足切りラインや過去12年出題傾向・勉強時間・独学vs講座を徹底解説】
また、四肢択一(全40問)における計算問題の割合は、例年概ね10%〜15%程度(40問中4〜6問程度)です。
計算問題は難度が高く、時間をかけて解いても「間違えるリスク&時間がかかる」ため、優先順位は低くなります。
もちろん初めの60分で、簡単な計算問題は解いてしまえば、精神的余裕が生まれ、見直しの時間も確保できます。
💬 現役受験生として
私は過去問の記述式を通しで解いたとき、「書くのに時間かかるな」と思いました。
記述式を後回しに、択一で時間を使いすぎることも多く、記述が雑になった経験があります。「択一は一旦60分で切り上げる」というルールを先に決めておかないと、本番でズルズルいきます。
「断面二次モーメントの計算」や「曲げ耐力や応力計算」は、本当に難しく一度飛ばす戦略は有効です。
概ね難しい計算問題は、多くの受験生が解けないので、得点できる問題で戦うのが資格試験の鉄則です。
「断面二次モーメントとは?」「外ケーブル工法の計算わからない…」ややこしい計算を、どこよりもわかりやすく解説しています!👇
▶︎【第6章攻略】コンクリート診断士の「道路橋・トンネル」を現場翻訳!断面2次モーメントの計算、外部PC鋼材のケーブル工法等について徹底解説
試験開始直後にやること

おすすめの立ち回りはこうです。
試験開始直後→まず記述式の問題文だけサッと読む(5分)
テーマが塩害なのか、ASRなのか、複合劣化なのかを把握してから択一に移ります。
択一を解いている間に、記述式のキーワードを探し出し、思考を温めておくことができます。いざ記述に取り掛かるときにスムーズに入れるのはこのためです。
📝 重要メモ
参考書のデータによると、文字数は1000字以内で変わっていません。解答欄の8〜9割以上は必ず埋めることが基本事項として明記されています。
中身が良くても、「空白が多い=知識不足」と判断されかねません。
記述式の「文字数の目安と配分」
問題の構成にもよりますが、おおむねこのバランスを目安にしてください。
| 設問 | 内容 | 目安文字数 |
|---|---|---|
| 問1 | 変状原因の推定 | 約300文字 |
| 問2 | 調査項目 | 約250文字 |
| 問3 | 対策項目 | 約450文字 |
| 合計 | 約1000文字 |
問3の対策が一番配点が大きいと言われています。原因と調査を簡潔にまとめて、対策に文字数を厚く割くバランスが理想です。
問題によって、目安文字数のバランスは変わりますが、「300・250・450」文字をベースにしましょう!
💬 現役受験生として
実際に2025年の過去問を解いてみて、問3の対策が一番書くことが多くて時間を取られました。逆に問1の原因推定で論理がしっかりしていれば、問3は自然と書けます。原因特定が全ての出発点です。
原因特定がしっかりできれば、四肢択一の知識を活用して、キーワードを文章に組み込み、おのずと文字数も確保することができます。
おすすめ短文章の例として、「腐食発生限界塩化物イオン濃度が1.2kg/m3以上で~」や「かぶりコンクリートを鉄筋裏まではつり取り、ポリマーセメントモルタルで断面修復して~」があり、20~30文字稼ぐことができます。
勝負を決める「最初の30分」のメモ作りが重要

ここから、1級土木施工管理技士に合格した私が考える「メモ作り戦法」を紹介します。
記述式の時間に入ったからといって、いきなり文章を書き始めてはいけません。途中で論理が崩れて消しゴムで消すことになります。
最初の30分はとにかく情報抽出と構成メモに全集中します。
参考書にも「問題文・図・表・写真を有効活用して文章を作成すれば比較的容易となる」と明記されています。
問題用紙に全ての情報が詰まっているので、まずそれを徹底的に読み解くことが先決です。
メモ作りの4ステップ
STEP1:事実の書き出し
問題文に書かれている「事実」を抜き出します。「建設後〇年」「海岸から〇km」「使用材料」「環境条件」などです。
STEP2:図・写真・表からの読み取り
全ての情報を書く必要はありません。劣化のヒントになる「異常な数値」や「特徴的なひび割れパターン」だけをピックアップします。
STEP3:変状原因の特定(点と点を繋ぐ)
STEP1とSTEP2で拾った情報を繋ぎ合わせます。
例えば「海砂を使用している(内在塩分の可能性)」+「かぶり厚さが薄い」+「表面から中性化が進行している」という情報が揃えば、「中性化フロント現象による複合劣化」という核心に迫れます。
💬 現場で実際に感じたこと
実は補修補強の現場でも「なぜここが劣化しているのか」の原因特定は全く同じ手順でやっています。図面・施工記録・現地の状況を組み合わせて原因を絞り込む作業は、記述式の問題構成と完全に一致しています。
普段現場で何気なくやっている思考術が、記述式を解くのに役立つのです。「専門用語が難しい=記述式が難しい」になりがちですが、記述式の正解の構成を理解できれば、実は難しく考えなくても良いかもしれません。
STEP4:キーワードの洗い出し
文章にする前に、答案に盛り込みたい専門用語(キーワード)を単語レベルで書き出します。
塩害なら「腐食発生限界塩化物イオン濃度・マクロセル腐食・フリーデル氏塩・塩化物イオンの拡散係数」、
ASRなら「反応性骨材・アルカリシリカゲル・吸水膨張・ペシマム量」などです。
この設計図を30分で作ってしまえば、あとはキーワードを繋いで文章にするだけです。割とこのフェーズが記述式で最も大事なのかもしれません。
【最重要】「現象」ではなく「原因」を書く

記述式で一番多い失敗がこれです。私もよくやってしまいました。
❌ 現象を書いている答案
- 「網目状のひび割れが発生している」
- 「鉄筋が露出して錆びている」
- 「コンクリートが剥離している」
これは見ればわかる事実の説明に過ぎません。採点官が知りたいのは「なぜそうなったのか」です。
✅ 原因(メカニズム)を書いている答案
「飛来塩分がコンクリート表面から浸透し、腐食発生限界塩化物イオン濃度を超えたことで鉄筋腐食が開始した。
「腐食生成物の膨張圧によりかぶりコンクリートにひび割れが発生し、さらに塩化物イオンの浸透が加速するという悪循環が生じている」
同じ「ひび割れ」という現象でも、なぜ起きたのかという劣化メカニズムを書けているかどうかで評価が全然変わります。
🎯 診断士の視点(試験のポイント)
コンクリート診断士の問題集には「キーワードを適切に文章へ盛り込むと技術文章としてすっきりする」と書かれています。
難しい文章を書く必要はなく、キーワードを論理的な順番で繋ぐことが正解です。
原因→調査→対策の「一貫性」を持たせる

書き上げた原因に対して、調査と対策が論理的に繋がっているかを必ず確認してください。
塩害の場合の一貫した答案の流れ
原因:飛来塩分による塩害。腐食発生限界塩化物イオン濃度を超えて鉄筋腐食が進行している。
調査:塩化物イオン濃度の深さ方向の分布測定(自然電位法・電磁誘導法によるかぶり厚さ確認)
対策:断面修復工法による腐食鉄筋の補修+表面含浸工法(シラン系)による再劣化防止
💬 過去問を実際に解いてみて
2025年の過去問を手書きで解いたとき、原因の特定まではうまくいきましたが、調査項目の具体性が薄かったです。
「塩化物イオン濃度を測定する」だけでは不十分で、「どの深さまで・どの方法で・どの基準値と比較するか」まで書かないと点数にならないことに気づきました。
「技術的思考があるか」問われる試験なので、数値を用いて論理的に記述することが、得点UPに繋がることは確かです。そこが難しかったりしますが…
📝 対策を書くときのコツ
「反応型けい酸塩系」など自信のない工法は無理に使わなくていいです。
自信を持って書けるシラン系・エポキシ系などの工法で勝負する方が、答案全体の信頼性が上がります。
劣化因子の侵入防止のため「表面被覆を施す」と書くだけでも、間違った工法を書いてしまうより得点に結びつきます。
実際のノートを公開!2025年過去問の解き方

実際に2025年の過去問を解いたノートです(字が汚くてすみません…)。赤字の部分が、解説を見て気づいた修正ポイントです。
①左上半分(赤枠)で、キーワードを書き出し、実際の記述論文に取り掛かっています。
参考書の解答例と照らし合わせて気づいたポイントをまとめます。
良かった点
塩害のメカニズムの記述は概ね正しく書けていました。「中性化フロント現象」や「フリーデル氏塩」等のキーワードがしっかり盛り込むことができています。
改善が必要だった点
凍害による現象を記述し過ぎたため、原因の記述が不十分になっています。何が原因で凍結融解作用が発生したかを端的に書くべきでした。
また問2で、「中性化による鉄筋腐食への影響は無視できる」と言い切ってしましましたが、「影響が少ない」と言い換えるだけで、大きく印象が異なり減点されにくいです。言い切りは、本当に自信がある時以外は多用しない方が良いです。
💬 現役受験生として
実際に書いてみると「知っているつもり」と「書けること」は全然違うと痛感しました。
頭の中ではわかっていても、1000字という制限の中で論理的にまとめるのは別のスキルです。だからこそ書く練習を繰り返すことが大事です。
ただひたすら書く練習をしていても、正しい劣化の推定や調査方法がわかっていないと、必須キーワードを文章に盛り込むことができません。四股択一の知識が、記述式の文章力に関わってきます。
まだ、四股択一の知識に自信がない方は、「図解と例え話で章別に分かりやすく詳細に解説したこちらの記事をご確認ください」。サッと目を通すだけでも、過去問やった時の理解力が格段に上がります。
まとめ:まず「設計図(メモ)を作る習慣」から

記述式で結果が出ない人の多くは、いきなり文章を書き始めています。最初の15分でメモを作る習慣をつけるだけで、答案の質が別物になります。
今日からできる練習を3つ残します。
1.まず過去問の問題文を読んで、答えを書く前に「STEP1〜4のメモだけ作る」練習から始めることです。
2.次に書き終えた答案を見返して「現象しか書いていないところはないか」を確認する癖をつけることです。
3.最後に原因→調査→対策の流れが論理的に繋がっているかを確認してみることです。
次の記事では塩害の「記述式で使える鉄板フレーズ集」をまとめます。
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記述式問題は2001年〜2025年の全問題と回答を掲載しており、合否の鍵を握る記述対策が最も充実しています。
💬 現役受験生として
写真がカラーで掲載されていて、現場で見る劣化の状態をイメージしながら勉強できるのが強みです。

現場経験がある方には特に刺さります。そして私も愛用している一冊です。
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