
補修補強会社で施工管理をしているエナガパパです。
記述式攻略シリーズの第5弾は「調査方法」です。
問2(調査項目)で手が止まる方、多いと思います。私も一番に苦手です。
「コアを採取して…の後に何を書けばいいんだ」
「SEMとEPMAって答案に使って大丈夫?」という疑問をよく聞きます。
この記事では調査方法を「知っている」レベルから「記述式の答案に書ける」レベルに引き上げることを目的にしています。
劣化原因別にどの調査を使うかという選定フローと、そのまま答案に使えるフレーズをセットで整理します。
記述式対策としていますが、四肢択一(マークシート)対策にもなります。
また第3章攻略記事・番外編(SEM・EPMA解説)と合わせて読むと、調査関連の知識が完全に体系化されます。
(先に第三章の「調査手法の概要」について学んでおきたい方はこちらから👇)
▶︎【第3章番外編】マニアックな配合推定とハイテク機器分析(DNA鑑定や細胞レベルの検査)
結論!調査は「目的」と「何と比較するか」をセットで書く

記述式の問2で点数が取れない答案の共通点は、「何を調査するか」しか書いていないことです。
採点官が評価するのは以下の3点がセットで書けているかどうかです。
- 何を・どこで・どの方法で調査するか
- その調査で何が分かるか
- 何と比較して判定するか(基準値)
例えば「塩化物イオン濃度を測定する」だけでは少し不十分です。
「深さ方向の全塩化物イオン量を測定し、腐食発生限界値(1.2kg/m³)と比較して劣化ランクを判定する」まで書いて初めて得点になります。
💬 現役受験生として
この「基準値まで書く」という意識を持ってから、問2の答案の質が全然変わりました。
- 塩害なら1.2kg/m³
- ASRなら残存膨張量0.1%
という数値を答案に入れるだけで、「この人は現場を知っている」という印象が一気に変わります。
論理的な文章を書く時には、基準値等の数字を盛り込むことが大切です。
例えば、「頑張ります」と「10%の売り上げを目指して、毎日1時間この作業を行います」のように数字を用いるのでは、説得力が全然違いますよね。
調査方法の全体マップ

まず調査方法を「何を調べたいか」で分類すると整理しやすいです。
| 調査の目的 | 主な調査方法 | 劣化との対応 |
|---|---|---|
| 塩化物イオン量の確認 | 全塩化物イオン量・水溶性塩化物イオン量 | 塩害・複合劣化 |
| 中性化深さの確認 | フェノールフタレイン法・コア採取 | 中性化・複合劣化 |
| 鉄筋腐食の確認 | 自然電位法・分極抵抗法 | 塩害・中性化 |
| かぶり厚さの確認 | 電磁波レーダ法・電磁誘導法 | 全劣化共通 |
| ASRの進行確認 | 残存膨張量(JCI-DD2)・偏光顕微鏡 | ASR |
| 微細構造の確認 | SEM・EPMA | 複合劣化・精密診断 |
| シース内の確認 | 衝撃弾性波法・打音検査 | PC橋・グラウト不良 |
| 強度の確認 | コア採取・反発度法 | 全劣化共通 |
塩化物イオン関連の調査

全塩化物イオン量と水溶性塩化物イオン量の違い
記述式で一番使う調査です。この2つの違いを正確に理解しておくことが必須です。
・全塩化物イオン量
コンクリート中に存在する塩化物イオンの総量です。フリーデル氏塩などに固定されている塩化物イオンも含みます。試験では一般的にこちらを測定します。
・水溶性塩化物イオン量
コンクリート中で自由に動ける(鉄筋腐食に直接影響する)塩化物イオンの量です。全量より少ない値になります。
鉄板フレーズ
「コアを採取し、深さ方向の全塩化物イオン量の分布を測定する。腐食発生限界値(1.2kg/m³)との比較により各深さの劣化ランクを判定するとともに、塩化物イオンの拡散係数を算出して将来の浸透量を予測する。」
🎯 試験のポイント
「全塩化物イオン量で1.2kg/m³」という数値は必須暗記です。中性化との複合の場合はフリーデル氏塩が分解して水溶性が増加するため、より危険な状態になるという論理も答案に加えられると高得点です。
💬 現場で実際に感じたこと
補修の現場でコアを採取して塩化物イオン濃度を測定すると、深さ方向でグラフを作ります。
腐食発生限界を超えている深さがかぶり位置より浅いか深いかで、「今すぐ補修」か「経過観察」かの判断が変わります。試験の問いは現場の判断プロセスそのままです。
電気泳動法(迅速塩化物イオン透過試験)
あんまり使うことはないので、必須ではないですが、「こんな調査もあるんだな」程度で見といてください。
・ どんな調査か
電圧を加えて塩化物イオンを強制的に移動させ、短時間で塩化物イオンの浸透しやすさを測定します。
・.記述式での使い場面
「材料の塩化物イオン遮断性能を評価する際」に使います。補修材料の性能確認として記述式の問3(対策)の補足として使えます。
中性化関連の調査

フェノールフタレイン法

どんな調査か
コアの断面または割裂面にフェノールフタレイン溶液を噴霧し、アルカリ性部分(健全部)が赤紫色に変色することを利用して中性化深さを測定します。
鉄板フレーズ
「コアを採取し割裂断面にフェノールフタレイン溶液を噴霧して中性化深さを測定する。中性化残りとかぶり厚さを比較し、中性化フロントが鉄筋位置に到達しているかを確認する。」
🎯 試験のポイント
「赤紫色に染まらない部分=中性化している部分」です。
「赤くなったら危険」と逆に覚えている方が多いので注意してください。これは理科でやったリトマス紙と混同しやすいですね!
📝 重要メモ
中性化速度係数Aを算出し、将来予測ができます。
D = A√t
(D:中性化深さ・t:材齢)
この式を使った将来予測が記述式で書けると答案の説得力がグッと上がります。
四肢択一(マークシート)でも、中性化速度の計算は出題頻度が高いので、この公式は必ず頭に入れておきましょう!
鉄筋腐食関連の調査
自然電位法
どんな調査か
コンクリート表面に照合電極を当て、内部鉄筋との電位差を測定することで鉄筋腐食の活性状態を評価します。
鉄板フレーズ
「自然電位法により鉄筋の腐食活性状態を調査する。自然電位が−350mV(CSE)以下の場合は90%以上の確率で腐食が発生していると判定する。」
🎯 試験のポイント
自然電位法で分かるのは「腐食している確率」であって、「腐食速度」や「腐食量」ではありません。これが頻出の引っかけです。
「自然電位法」は、鉄筋にプラス(+)端子でコンクリート面にマイナス(-)端子です。ちなみに、電気防食工法では鉄筋にマイナス(-)端子です。
「どの端子を鉄筋につなげるか」をしっかり区別して覚えましょう!問題に出てきます!
分極抵抗法
どんな調査か
微小な電流を流し、鉄筋の腐食速度(腐食電流密度)を直接測定します。自然電位法より一歩進んだ調査です。
自然電位法との違い
| 項目 | 自然電位法 | 分極抵抗法 |
|---|---|---|
| 分かること | 腐食の確率 | 腐食の速度 |
| 測定の難易度 | 簡単 | やや難しい |
| 記述式での使い場面 | 一次スクリーニング | 詳細調査 |
記述式での使い方
「自然電位法で腐食活性が疑われる箇所を特定した後、分極抵抗法により腐食速度を定量的に評価する。」という二段階の調査として書くと説得力が上がります。
💬 現役受験生として
この2つの使い分けは「まず自然電位法で広く確認してから、怪しい箇所に分極抵抗法」という流れだと覚えています。現場での調査の進め方と同じ発想です。
- 腐食範囲→自然電位法
- 腐食速度→分極抵抗法
「腐食範囲を調べるのか、腐食の程度を調べるのか」で使い分けるようにしましょう。
ASR関連の調査

残存膨張量試験(JCI-DD2法)
どんな調査か
コアを採取し、高温高湿環境(40℃・相対湿度100%)で促進養生して残存膨張量を測定します。
鉄板フレーズ
「コアを採取し残存膨張量試験(JCI-DD2法)によりASRの進行状況を評価する。残存膨張量が0.1%未満であれば膨張はほぼ収束、0.1%以上であれば今後も膨張が継続すると判定し、補修方針の決定に活用する。」
🎯 試験のポイント
「0.1%」という数値は必須暗記です。2025年の過去問でも「0.05%未満→収束」という判断の根拠になりました。
残存膨張量試験のような、ASR出題の記述式で得点になりやすいキーワードやフレーズ、注意点をまとめた記事を紹介しています。気になる方は確認してください👇
▶︎【記述式攻略④】コンクリート診断士の記述式で使えるASRフレーズ集!塩害・凍害・中性化との複合劣化キーワードも完全網羅
偏光顕微鏡観察
どんな調査か
コアの薄片を作成し偏光顕微鏡で観察することで、アルカリシリカゲルの生成状況・反応性骨材の種類・劣化の進行段階を確認します。
鉄板フレーズ
「偏光顕微鏡観察によりシリカゲルの生成状況と反応性骨材の種類を確認し、ASRの発生メカニズムを特定する。」
📝 重要メモ
蛍光染色法(ウラニルアセテートを用いた方法)と組み合わせると、ゲルの分布をより明確に確認できます。
蛍光X線分析
どんな調査か
コンクリートのサンプル(粉末や固体)にX線を照射し、発生する固有の蛍光X線を測定することで、
塩化物イオン(Cl⁻)の浸透深さやセメント成分、アルカリシリカゲル(ASRゲル)の元素組成を非破壊または迅速に定量・特定します。
鉄板フレーズ
「蛍光X線分析により塩化物イオンの浸透深さとアルカリシリカゲルの元素組成を定量的に特定し、複合的な劣化原因を同定する。」
📝 重要メモ
蛍光染色法(ウラニル蛍光法など)でゲルの存在を「視覚的」にスクリーニングした後に、
その箇所を狙って蛍光X線分析を行うことで、ASRゲルの「成分的な同定」をより正確かつ効率的に行うことができます。
🎯 試験のポイント
ASRと言えば、アルカリシリカゲルです。
アルカリシリカゲルの存在の有無を調べるのが「偏光顕微鏡観察」で、成分の特定や定量するのが「蛍光X線分析」です。混同しないよう、明確に使い分けを意識しておきましょう!
微細構造解析(SEM・EPMA)
SEM(走査型電子顕微鏡)
どんな調査か
コンクリートの断面を電子線で走査し、ナノマイクロメートルレベルの微細構造を観察します。
何が分かるか
セメント水和物の組織・空隙の分布・ひび割れの形態・劣化生成物(エトリンガイト・アルカリシリカゲル)の存在確認ができます。
記述式での使い場面
通常の記述式問2では「SEM観察により微細組織を確認する」という形で使います。複合劣化の詳細な原因特定が必要な場面や、補修後の性能確認として使います。
鉄板フレーズ
「SEM観察によりコンクリートの微細組織を確認し、劣化生成物(エトリンガイト・アルカリシリカゲル等)の生成状況と分布を特定する。」
💬 現役受験生として
SEMとEPMAは四択問題でも問われますが、記述式では「他の調査で原因が特定できない場合の精密診断」という位置づけで使うと答案が説得力を持ちます。
アルファベットにアレルギーある方多いと思いますが、SEMやEPMAは頻出試験方法です。必ず覚えましょう!
EPMA(電子プローブマイクロアナライザー)
どんな調査か
電子線を照射して発生する特性X線を分析し、元素の種類と濃度分布をマッピングします。
SEMとの違い
| 項目 | SEM | EPMA |
|---|---|---|
| 主な用途 | 微細構造の観察(形状) | 元素分布のマッピング(組成) |
| 得られる情報 | 形態・組織・空隙 | カルシウム・塩素・硫黄の分布 |
| 記述式での使い場面 | 劣化生成物の確認 | 塩化物イオンの浸透深さの精密確認 |
鉄板フレーズ
「EPMAにより塩素・カルシウム・硫黄等の元素分布をマッピングし、塩化物イオンの浸透深さと劣化の範囲を精密に確認する。」
🎯 試験のポイント
SEM・EPMAは「詳細な原因特定が必要な場合」「他の調査で判断がつかない場合」の追加調査として位置づけます。
記述式では、段階的な調査フローで書くと論理的な答案になります。
- 現場調査→
- コア採取・基本試験→
- 必要に応じてSEM・EPMA
PC橋・特殊構造物専用の調査
衝撃弾性波法(グラウト充填確認)

どんな調査か
コンクリートや構造物に衝撃を与え、伝播する弾性波の反射を分析してシース内の空洞・グラウト充填不良を確認します。
記述式での使い場面
PCポストテンション橋でシース内腐食が疑われる場面(2023年の過去問パターン)で使います。
鉄板フレーズ
「衝撃弾性波法によりシース内のグラウト充填状況および空洞の有無を確認する。充填不良箇所はPC鋼材腐食の潜在リスクとなるため、充填不良の位置と規模を把握して補修の優先順位を決定する。」
劣化原因別の調査セット一覧【記述式でそのまま使える】
これが今回の記事の核心部分です。過去問で問2を解くときにこの表を参照してください。試験前の見直しにも有効です!
| 劣化原因 | 必須調査(必ず入れる) | 追加調査(あれば加点) | 判定基準値 |
|---|---|---|---|
| 塩害 | ・全塩化物イオン量 ・自然電位法 ・かぶり厚さ | 分極抵抗法 EPMA | 1.2kg/m³ |
| 中性化 | ・中性化深さ(フェノールフタレイン) ・かぶり厚 | 自然電位法 | 中性化残り10mm |
| ASR | ・残存膨張量(JCI-DD2) ・偏光顕微鏡 | SEM 蛍光染色法 | 0.1% |
| 凍害 | ・外観調査 ・コア採取(強度確認) ・かぶり厚 | 気孔構造分析 | 強度低下率 |
| 塩害×中性化 | ・全塩化物イオン量 ・中性化深さ ・自然電位法 | フリーデル氏塩分解確認 EPMA | 1.2kg/m³・残り10mm |
| ASR×塩害 | ・残存膨張量 ・全塩化物イオン量 ・自然電位法 | 偏光顕微鏡 SEM | 0.1%・1.2kg/m³ |
| PC橋シース内 | ・衝撃弾性波法 ・全塩化物イオン量 ・自然電位法 | 分極抵抗法 X線分析 | 1.2kg/m³ |
記述式問2の答案テンプレート

塩害の場合の調査項目答案例
①コアを採取し深さ方向の全塩化物イオン量の分布を測定する。腐食発生限界値(1.2kg/m³)との比較により劣化ランクを判定し、塩化物イオンの拡散係数を算出して将来の浸透量を予測する。
②電磁誘導法によりかぶり厚さを測定し、塩化物イオンが鉄筋位置に到達しているかを確認する。
③自然電位法により鉄筋腐食の活性状態を調査し、腐食が疑われる箇所を特定する。自然電位が−350mV以下の部位については分極抵抗法により腐食速度を定量的に評価する。」
ASR×塩害複合の場合の調査項目答案例
「①コアを採取し残存膨張量試験(JCI-DD2法)によりASRの進行状況を評価する(0.1%未満で収束と判定)。偏光顕微鏡観察によりシリカゲルの生成状況を確認する。
②深さ方向の全塩化物イオン量を測定し腐食発生限界値(1.2kg/m³)と比較する。
③自然電位法により鉄筋腐食の活性状態を確認する。
④ASRによるひび割れが塩化物イオンの浸透経路となっているかを確認するため、ひび割れ位置と全塩化物イオン量分布を重ね合わせて評価する。」
まとめ:調査方法は「目的×基準値×フレーズ」の3点セット
最後に、調査方法を答案で使えるレベルに引き上げる3つのポイントです。
- まず「何のためにこの調査をするか」という目的を一文で言えるようにすること。
- 次に「何と比較して判定するか」という基準値を数値で言えるようにすること(1.2kg/m³・0.1%・−350mV・中性化残り10mm)。
- 最後に「調査結果をどう補修方針に活かすか」という論理の流れを答案の中に作ることです。
この3点が揃った問2の答案は、採点官に「この人は現場を知っている」という印象を与えます。
試験まで残り少ない時間、この表を手元に置いて過去問の問2を解き直してみてください。一緒に合格目指して頑張りましょう!
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- 🔗【記述式攻略④】ASRフレーズ集・複合劣化の書き方
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