
補修補強会社で施工管理をしているエナガパパです。
記述式攻略シリーズの第4弾は「ASRの鉄板フレーズ集」です。
前回の塩害編と同様に、「メカニズムは理解できているのに文章にすると薄くなる」という声が多いのがASRです。しかも最近の出題は「ASR単独」より「塩害・凍害との複合劣化」がスタンダードになっています。
過去12年で出題率70%、しかも塩害との複合では事実上ほぼ毎年登場しているASR。この記事では単独パターンから複合劣化パターンまで、試験直前のチェックシートとして使えるフレーズを全部まとめます。
早めに結論!ASRの記述式は「この流れ」で書ける
塩害と同様に「原因特定→劣化メカニズム→調査→対策」の4ステップで組み立てます。ここは変わりません。
ASRは「骨材の種類」と「残存膨張量」という2つのデータが答案の核心になります。
| ステップ | 内容 | 使うキーワード |
|---|---|---|
| 原因特定 | 反応性骨材の確認 | 反応性骨材・アルカリ成分・普通ポルトランドセメント |
| 劣化メカニズム | なぜ膨張するか | アルカリシリカゲル・吸水膨張・内部膨張圧・亀甲状ひび割れ |
| 調査 | 何をどう測るか | 残存膨張量(JCI-DD2)・偏光顕微鏡・ゲルの蛍光染色 |
| 対策 | どう補修するか | 水分遮断・表面被覆・ひび割れ注入・膨張抑制 |
💬 現役受験生として
ASRで一番間違えやすいのが「骨材の種類」の確認を忘れることです。
問題文に「川砂利・川砂」や「反応性骨材」という記述があったら、真っ先にASRを疑うクセをつけてください。
ASRにとって、「骨材」は超重要ポイント。「反応性骨材+アルカリ成分+水」の3要素がASR発生要因となることをおさえておきましょう!
2025年の問題でもB部の骨材が砕石・砕砂(反応性なし)だったことで「ASRは収束している」という判断に繋がりました。
ASRの出題があった2025年の過去問を、必須キーワードや鉄板フレーズを盛り込みながら徹底解説しています。
過去問解説を読んでも分かりにくい方や、もっと理解して高得点を狙いたい方には必見です!
▶︎【2025年記述式解説】コンクリート診断士の土木過去問を完全攻略!凍害×塩害×ASR複合劣化の解き方を現役受験生が徹底解説
ASR単独の鉄板フレーズ集【そのまま使える】

原因特定のフレーズ
・反応性骨材が原因の場合(基本パターン)
「使用骨材である川砂利・川砂に含まれる反応性シリカが、セメント中のアルカリ成分(Na₂O・K₂O)と反応してアルカリシリカゲルを生成したと推定される。」
・普通ポルトランドセメント使用の場合(引っかけ対策)
「セメントの種類が普通ポルトランドセメントであり、低アルカリ形セメントや混和剤が使用されていないため、コンクリート中のアルカリ量が高い状態にあったと考えられる。」

理由を説明するね!
→混和材(高炉スラグ微粉末やフライアッシュ等)で置換すると、セメント中の水酸化カルシウム量が減少するので、アルカリ分の減少により、ASR対策になります。
💬 現場で実際に感じたこと
現場で亀甲状のひび割れと白色析出物を見たとき、まず骨材の種類を図面で確認します。
川砂利・川砂が使われていたら「ASRの可能性大」と判断するのは試験と全く同じ手順です。
河川産の骨材はASRリスクが高いという経験則は、現場でも試験でも共通しています。
劣化メカニズムのフレーズ(採点の核心)

基本の流れ(必ず盛り込む)
「反応性骨材とアルカリ成分の反応によりアルカリシリカゲルが生成され、ゲルが吸水膨張することで内部から膨張圧が発生した。
この膨張圧がコンクリートの引張強度を超えたため、亀甲状・放射状のひび割れが生じたと推定される。」
ひび割れの方向性に言及する場合(高得点ポイント)
「拘束のない自由端では等方的に膨張するため亀甲状ひび割れが生じ、鉄筋や外部拘束がある部位では膨張が一方向に集中するため、鉄筋方向に沿ったひび割れが発生している。」
白色析出物に言及する場合
「ひび割れ部に白色のゲル状析出物(アルカリシリカゲル)が認められ、ASRが進行中または過去に活性状態にあったことを示している。」
📝 重要メモ
- 反応性骨材↓
- アルカリシリカゲル生成↓
- 吸水膨張↓
- 膨張圧↓
- ひび割れ
という一連の流れをこの順番で書けるかどうかが採点の分かれ目です。
白色析出物・亀甲状ひび割れという写真の特徴を原因と結びつけて説明できるかがポイントです。
調査フレーズ

「コアを採取し、残存膨張量試験(JCI-DD2法)を実施してASRの進行状況を評価する。
残存膨張量が0.1%未満であれば膨張はほぼ収束、0.1%以上であれば今後も膨張が継続する可能性がある。
あわせて偏光顕微鏡観察によりシリカゲルの生成状況を確認し、蛍光染色法によりゲルの分布を把握する。」
🎯 試験のポイント
「残存膨張量0.1%」という数値は必ず盛り込みましょう。
2025年の問題でも「0.05%未満→収束」という判断の根拠になりました。数値の意味を理解しているかどうかが答案の質を分けます。
対策フレーズ

ASRが進行中の場合
「水分の供給を遮断するため表面被覆工法を施し、ASRの進行を抑制する。既存のひび割れには弾性エポキシ樹脂を注入して封止し、雨水の浸入を防ぐ。膨張が継続している場合は内部拘束を高める補強も検討する。」
ASRが収束している場合
「残存膨張量が収束していることから新たな補修は必要最小限とし、ひび割れへの樹脂注入による封止を行う。
今後は定期的な残存膨張量・ひび割れ幅のモニタリングを継続し、再活性化の兆候があれば速やかに対策を講じる。」

収束してるなら
経過観察が有効!
💬 現場で実際に感じたこと
ASRが収束していると判断した構造物でも「水分を遮断する」という対策は必ず行います。ASRは水分があることで再活性化するリスクがあるからです。
「収束しているから何もしない」ではなく「収束しているから最小限の対策で管理する」という発想が試験でも評価されます。
複合劣化① ASR×塩害(最頻出パターン)

なぜ最も危険な組み合わせか
ASRによるひび割れが塩化物イオンの浸透経路を作り、塩害の進行を加速させます。近年の出題の主流はまさにこのパターンです。
メカニズムの説明
「アルカリシリカ反応による膨張ひび割れが、塩化物イオンの浸透経路として機能する。ひび割れを通じて浸透した塩化物イオンが腐食発生限界値(1.2kg/m³)を超えることで鉄筋腐食が開始し、腐食生成物の膨張圧がさらにひび割れを拡大させるという悪循環が生じる。」
鉄板フレーズ
「ASRによるひび割れが塩化物イオンの浸透を助長し、腐食発生限界塩化物イオン濃度への到達が加速している。
また塩化物イオン中のナトリウムイオンがコンクリートのアルカリ度を高め、ASRを促進する側面もある。
補修にあたってはASRの抑制(水分遮断・膨張抑制)と塩害対策(塩分遮断・断面修復)を同時に考慮する必要がある。」
🎯 試験のポイント
「ASRと塩害どちらが先行しているか」という因果関係の方向を明確に書くことがポイントです。
→「ASRが先に進行してひび割れが生じ、そこから塩分が浸透した」
→「塩分がありアルカリ度が上がりASRが促進された」
問題文のデータから判断して使い分けましょう。
塩害だから、「電気防食工法」で対策と安直に考えてしますと落とし穴があります。電気防食工法を使うとコンクリート内部の鉄筋付近にOH⁻が発生し、アルカリ性が強まります。ASRとの相性は最悪です。
複合劣化② ASR×凍害(寒冷地パターン)

2025年問題に直結するパターン
東北地方・寒冷地という設定が出たとき、ASRと凍害の複合を疑います。凍結防止剤には、アルカリ成分が含まれるため、ASRを促進してしまいます。
メカニズムの説明
「アルカリシリカ反応によるひび割れが生じたコンクリートでは、ひび割れを通じた水分の浸入が容易になる。
浸入した水分が凍結融解の繰り返しにより膨張・収縮し、コンクリートの組織をさらに損傷させる。ASRと凍害が互いに促進し合う複合劣化が生じている。」
鉄板フレーズ
「ASRによるひび割れが凍結融解水の浸透経路となり、凍害によるスケーリングがコンクリート表面を粗面化することで水分のさらなる浸入を招く。
両者が相互に促進する複合劣化であり、水分の供給を遮断することが最優先の対策となる。」
📝 重要メモ
凍害とASRの複合では「水分の遮断」が対策の共通項です。「どちらの劣化も水分があることで進行する」という本質を理解していると、対策の論理が自然に書けるようになります。
複合劣化③ ASR×中性化(進行抑制パターン)

逆の方向に働く複合劣化
中性化とASRの関係は少し特殊です。中性化が進むとアルカリ度が下がり、ASRが抑制される方向に働きます。この「逆の関係」が試験で問われることがあります。
メカニズムの説明
「コンクリートの中性化が進行するとアルカリ度(pH)が低下し、アルカリシリカ反応に必要なアルカリ成分が減少するためASRが抑制される方向に働く。
ただし中性化による鉄筋の不動態皮膜破壊という別の劣化が進行するため、複合的な診断が必要である。」
鉄板フレーズ
「中性化の進行がアルカリ度を低下させASRを抑制する一方で、鉄筋腐食を促進するという相反する影響が生じている。
中性化フロント付近では塩化物イオンの固定(フリーデル氏塩)も分解されるため、塩害が重なる場合は特に注意が必要である。」
💬 現役受験生として
「中性化がASRを抑制する」という視点は最初に見たとき正直驚きました。でも考えてみれば「アルカリがないとASRは起きない」という原理から自然に導ける話です。
原理を理解していると初見の問題でも対応できるので、暗記より理解の方が最終的には強いと感じています。
ASR記述式答案の組み立て実例
ASR×塩害複合劣化の問題を想定した答案イメージです。
問1(変状原因の推定)の例文(約200文字)
「使用骨材である川砂利・川砂に含まれる反応性シリカがセメント中のアルカリ成分と反応し、アルカリシリカゲルを生成・吸水膨張したことで内部から膨張圧が発生し、亀甲状ひび割れが生じたと推定される。さらにこのひび割れが塩化物イオンの浸透経路となり、腐食発生限界値(1.2kg/m³)を超えて鉄筋腐食が進行している複合劣化と判断される。」
問2(調査)の例文(約150文字)
「コアを採取し残存膨張量試験(JCI-DD2法)によりASRの進行状況を評価する(0.1%未満で収束と判断)。偏光顕微鏡観察によりシリカゲルの生成を確認する。深さ方向の塩化物イオン濃度分布を測定し腐食発生限界値と比較する。自然電位法により鉄筋腐食の活性状態を確認する。」
問3(対策)の例文(約200文字)
「表面被覆工法により水分と塩化物イオンの浸入を遮断し、ASRの進行抑制と塩害対策を同時に行う。既存のひび割れには弾性エポキシ樹脂を注入して封止する。塩害が進行した部位については腐食鉄筋の除錆後に断面修復工法を施し、かぶりを回復する。残存膨張量が0.1%以上で膨張継続中の場合は、内部拘束強化も検討する。」
まとめ:ASRフレーズの総まとめ
試験直前にこの表だけ確認してください。
| パターン | 最重要キーワード | 忘れがちなポイント |
|---|---|---|
| ASR単独 | アルカリシリカゲル・吸水膨張・亀甲状ひび割れ・残存膨張量0.1% | 骨材の種類の確認・白色析出物の言及 |
| ASR×塩害 | ひび割れによる浸透加速・腐食発生限界値1.2kg/m³・凍結防止剤 | ASRと塩害の因果関係の方向を明確に |
| ASR×凍害 | 凍結融解水の浸透・スケーリング・水分遮断・凍結防止剤 | 水分遮断が両方の対策の共通項 |
| ASR×中性化 | アルカリ度低下・ASR抑制・フリーデル氏塩分解 | 中性化がASRを抑制する方向に働く |
記述式は「知っているか」より「論理的に書けるか」の勝負です。このフレーズ集を何度も確認して、自分の言葉として使えるようにしておきましょう。
塩害フレーズ集と合わせて、この2つを完璧にしておけば過去12年の出題のほぼ全パターンに対応できます。試験まで残り少ない時間、一緒に手を動かし続けましょう。
▶︎【記述式攻略③】コンクリート診断士の記述式で使える塩害フレーズ集!中性化・凍害・ASRとの複合劣化キーワードも含め完全解説
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▶︎【記述式攻略③】塩害フレーズ集・複合劣化の書き方
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