橋梁の補修補強会社で施工管理をしているエナガパパです。
浮いているコンクリートを剥がして断面修復する作業、表面被覆を塗り重ねる作業、巻き立て補強…これ、全部現場で実際に私がやってきた工事です。
そんな中、コンクリート診断士の勉強も、いよいよ大詰めとなる第5章「補修と補強」に突入です。
現場でよく見る工法ばかりとはいえ、試験となると細かい材料の違いや適用条件が問われて、頭が混乱してしまいますよね。
でも、安心してください。この第5章は、皆さんが現場で経験してきた「感覚」を、そのまま得点源に変えられる最も実務的な章です。

イメージつけば得点しやすいよ!
教科書の言葉を現場の感覚に翻訳しながら、試験で確実に点を取れるように一緒に攻略しましょう。
早めに結論!第5章は「コンクリートの外科手術と予防医学」
まずは結論です。第4章で「このコンクリートは危険」と余命宣告(診断)を下したら、次は具体的な「治療」に入ります。
補修は「今ある病気を治す外科手術」であり、補強は「これ以上悪化させないための体力強化」と考えると、頭の中がスッキリ整理されます。
そして、最適な治療法を選ぶためには、以下の教材で「基本の型」をしっかり押さえておくことが不可欠です。
📕おすすめ教材1:コンクリート材料学の基礎(改定版_図説_わかる材料)
コンクリートという物質が限界を迎えるメカニズムを、根本から理解できる最強の本です。
とにかく図解が多いのでイメージしやすいです。コンクリート診断士の問題で写真を見て答えるものが多いので、親和性バッチリ!

実は私がこれを愛用しているのは、通っていた大学の教授が出版したものなので馴染みがあるからです😁
📕おすすめ教材2:コンクリート診断士対策問題集(コンクリート診断士_2026年版)
過去問の出題傾向や、引っかけ問題のパターンが網羅された、絶対に手放せない最強の相棒です。
調べると、一発目に出てくる1番有名な教材です。間違えないでしょう!
テキストの詳細については、「使っている教材レビューと隙間時間の勉強法🖊️ 」でも紹介しています。

試験の引っかけ問題に惑わされないためにも、この教材たちを使い倒して
「なぜその数字になるのか」を知ることが、確実な合格への最短ルートになります。
それでは、第5章の超重要テーマを、一つずつ徹底的に「現場翻訳」していきましょう!
まずは工法の選定 重要度:★★★★★
🏗️ 現場翻訳
「症状に合った治療法を選ぶ、医師の処方箋」。
🧑⚖️どんな判定?
劣化の種類や進行度、環境条件によって使う工法がガラリと変わります。第4章の評価結果が、そのまま工法選定の出発点になるのです。
💬 現場で実際に感じたこと
現場では「とりあえず断面修復で」となりがちですが、根本的な原因を正しく診断しないと、すぐに再劣化してしまいます。断面修復は割と最強な工法ですよね。
でも、試験で「なぜその工法を選ぶのか」という理由が問われるのは、まさにこの現場のリアルな失敗を防ぐためです。
🎯 診断士の視点(試験のポイント)
工法を「選ぶ理由」がそのままズバリ出題されます。工法名の丸暗記ではなく、「どの劣化にどの工法が効くのか」の対応関係を確実におさえましょう。
ひび割れ注入・充填工法 重要度:★★★★★

🏗️ 現場翻訳
「骨折した骨の隙間に、接着剤を流し込んで内側から固める治療」。
⚒️どんな工法?
表面に現れたひび割れに材料を送り込み、内部から修復する工法です。
断面修復が「削って埋める外科手術」なら、こちらは「内側から治す注射治療」のイメージですね。
そのため割と簡単に補修できます!
💬 現場で実際に感じたこと
・低圧注入
器具をひび割れに沿ってズラッと並べ、ゆっくりじわじわ注入していく非常に地味な作業です。
焦って圧力をかけすぎると樹脂材料が漏れたり、ひび割れが広がってしまったりするので、現場では「待つ」ことが一番大事だと痛感しています。
・充填工法
幅の広いひび割れをU字やV字に削って詰める方法で、樹脂や断面修復とセットで行うことも多いです。
ひび割れの幅を見て「注入か充填か」を判断する現場の感覚は、試験の選択問題でもそのまま生きてきます。私はこの辺りは得意です。
🎯 診断士の視点(試験のポイント)
試験で一番狙われるのは「材料の使い分け」です。
- エポキシ樹脂
硬化後の強度が非常に高くガッチリ固定しますが、活きひび割れ(今も動いているひび割れ)には使えません。死にひび割れ専用です。 - アクリル系・ポリウレタン系
柔軟性があるため活きひび割れに対応できますが、強度は劣ります。 - セメント系
幅の広いひび割れや湿潤面に向いており、コストも安いですが、強度はエポキシに負けます。
| 材料の種類 | 硬化後の強度 | 柔軟性 | 対応するひび割れの状態(挙動) | 備考・その他の特徴 |
|---|---|---|---|---|
| エポキシ樹脂 | 非常に高くガッチリ固定する | なし | 死にひび割れ(動きが止まっている)専用 ※活きひび割れには使用不可 | |
| アクリル系・ポリウレタン系 | 劣る | あり | 活きひび割れ(今も動いている)に対応可能 | |
| セメント系 | エポキシに負ける | なし | 幅の広いひび割れや湿潤面に向いている | コストが安い |
📝 材料選定の判断フロー(これを覚えれば迷わない)
そして、ひび割れ幅や条件から、どの材料で補修するのが良いかがよく問われます。
- ひび割れは今も動いているか?
→ YES(活きひび割れ):アクリル・ポリウレタン系
→ NO(死にひび割れ):エポキシ樹脂 - ひび割れ幅は広いか?(0.2mm以上が目安)
→ YES:充填工法(エンカット)
→ NO:注入工法(低圧注入)
| 判定ステップ | 状況確認 | 判定結果 | 選定される材料・工法 |
|---|---|---|---|
| STEP 1:材料の選定 | ひび割れは今も動いているか? | YES(活きひび割れ) | アクリル系・ポリウレタン系 |
| NO(死にひび割れ) | エポキシ樹脂 | ||
| STEP 2:工法の選定 | ひび割れ幅は広いか? (0.2mm以上が目安) | YES | 充填工法(Uカット) |
| NO | 注入工法(低圧注入) |
⚠️要注意~引っかけポイント~
「エポキシ樹脂は強度が高いから活きひび割れにも使える」という選択肢は完全な誤りです。硬すぎて動きに追従できず、再びひび割れてしまいます。
📝 重要メモ
低圧注入の施工手順(座金取付→プライマー塗布→シール材塗布→注入器具取付→注入材注入→硬化確認)も、順番を問われることがあるので要チェックです。
断面修復工法 重要度:★★★★★

🏗️ 現場翻訳
「虫歯を削って詰め物をする、歯科治療」。
⚒️どんな工法?
浮いたコンクリートや劣化した部分を完全に剥がし落とし、新しい修復材で埋め戻す工法です。
💬 現場で実際に感じたこと
浮きの発見は打音検査で行います。コンコン…ポコっと音が変わる瞬間は、何年現場にいても「ここだ!」と見つけた面白さを感じます。

音が明らかに違うよ!
音の違いは経験です。
剥がしてみると、中の鉄筋が想像以上に錆びていることもあり、事前の診断がいかに重要かを肌で感じる瞬間です。
工事量としても一番多く、材料選定・下地処理・はつり・埋戻し・養生の5ステップで仕上がりが全く変わってきます。
🎯 診断士の視点(試験のポイント)
下地処理の重要性と、修復材(ポリマーセメントモルタルなど)の使い分けが頻出です。施工後の付着強度の確認方法も、必ずセットで覚えておきましょう。
⚠️フェザーエッジに気をつけろ!

断面修復箇所の施工範囲を決めたら、あらかじめ深さ10mm程度のカッターを入れておきます。
いきなり斫り始めると、端部が脆弱になり、断面修復の弱点になってしまうからです。この箇所をフェザーエッジと言います!

カッター深すぎても、既設鉄筋傷つける!
だから10mm程度に留めてくんです。
表面被覆工法 重要度:★★★★☆

🏗️ 現場翻訳
「傷んだ肌を守るために、高機能クリームでコーティングする」。
⚒️どんな工法?
コンクリート表面に塗料や樹脂を塗り重ね、水や炭酸ガス、塩分などの外部劣化因子の侵入をシャットアウトする工法です。
💬 現場で実際に感じたこと
施工自体はシンプルに見えますが、下地の乾燥状態と気温・湿度の管理が文字通り「命」です。
現場で「今日は湿度が高すぎるから塗れない」と、苦渋の決断をした経験が何度もあります。多くの材料は湿度85%以上で施工できない事が多かったりします。
🎯 診断士の視点(試験のポイント)
中性化抑制と塩害抑制のどちらにも使えますが、防ぎたい劣化因子によって塗料の材料が変わります。
また、「補修」として使うのか「予防」として使うのかでタイミングが異なる点も整理しておきましょう。
表面含浸工法 重要度:★★★★★

🏗️ 現場翻訳
「水を弾くレインコート」と「骨を密にするカルシウムサプリ」。
⚒️どんな工法?
表面に塗料の膜を張るのではなく、 コンクリートの内部に直接薬液を染み込ませてバリアを作る工法です。
試験で頻出なのが、 「シラン系」と「反応型けい酸塩系」という2つの薬液の決定的な違いです。
・シラン系表面含浸材
コンクリートの表面近くに水を弾く層を作る薬液です。 現場翻訳でお伝えした「レインコート」のイメージです。
外部から水や塩化物イオンが入り込むのを強力に防ぎます。 塩害の予防には非常に効果的ですが、 空気は通してしまうため、 中性化を完全に止めることはできません。
・反応型けい酸塩系表面含浸材
コンクリート内部のスカスカになった隙間に入り込み、 水酸化カルシウムと化学反応を起こして隙間を緻密なゲルで埋める薬液です。
これは「骨を密にするカルシウムサプリ」のイメージで、 コンクリート自体の組織を内側から強化します。
細かいひび割れを自ら修復する能力もありますが、 シラン系ほどの強い水弾き効果はありません。
💬 現場で実際に感じたこと
シラン系を塗った後のコンクリートに水をかけると、 コロコロと水玉になって弾くので、 現場では効いていると視覚的にすごく分かりやすいです。
対して反応型けい酸塩系は、 塗っても見た目がほとんど変わらないため、 本当に効いているのか不安になるくらい地味な作業になります。
しかし内部ではしっかりと組織の緻密化が進んでおり、 この目に見えない化学反応をイメージできるかが試験攻略の鍵になります。
🎯 診断士の視点(試験のポイント)
水や塩分を防ぎたいならシラン系を選び、 内部の組織を緻密にしたいなら反応型けい酸塩系を選ぶという使い分けが必ず問われます。
⚠️シラン系の弱点に注意しろ!
前述のとおり、シラン系は水分と塩化物イオンの侵入を抑制しますが、透気性があるため、二酸化炭素を通します。
中性化対策には不向きです。試験によく出ますよ!
補強工法(巻き立て・増設) 重要度:★★★★☆
🏗️ 現場翻訳
「骨折した骨の外側にギプスを巻いて、強度を取り戻す」。
どんな工法?
既存の構造物の外側に新たな材料を巻き付けたり増設したりして、耐力や靭性(粘り強さ)を向上させる工法です。
💬 現場で実際に感じたこと
巻き立て補強は、何よりも「施工スペースの確保」が現場での最大の壁になります。
狭い場所での作業が多く、図面通りに綺麗に巻けないことも多々あります。
しかし、だからこそ「この現場環境でどの工法が適用可能か」という試験の問いに対して、現場感覚でスッと正解を導き出せるようになります。
🎯 診断士の視点(試験のポイント)
鋼板巻き立て、炭素繊維シート巻き立て、RC巻き立ての3種類の違いと、それぞれの適用条件が頻出です。

| 工法 | 翻訳 | 概要 | 長所 | 短所 | 選定基準 |
|---|---|---|---|---|---|
| RC巻き立て | 肉体改造 | コンクリ増し | 確実 安価 | 太い 重い | スペースあり |
| 鋼板巻き立て | コルセット | 鋼板巻き | 高強度スリム | 重い 重機 | 強度が必要 |
| 炭素繊維シート | テーピング | シート貼り | 狭所 人力 軽量 | 火弱い 衝撃 | 狭い 軽量化 |
電気防食工法 重要度:★★★☆☆

🏗️ 現場翻訳
「鉄筋全体に『防錆バリア電流』を流し続ける、専門医の特殊治療」。
コンクリート内部に電極を設置し、微弱な電流を流し続けることで、鉄筋を化学的にサビにくいカソード(陰極)状態に保つ工法です。
💬 現場で実際に感じたこと
断面修復や被覆に比べて工事が大掛かり(電極埋め込み、配線、電源装置の設置)で、施工後の維持管理(定期点検)が必須になるので、導入には施主の覚悟が必要です。
🎯 診断士の視点
塩害、特に断面修復後のマクロセル腐食(再劣化)に極めて有効。「コンクリートを削り取らずに」鉄筋を保護できる唯一の工法であることを押さえましょう。
まずは鉄筋の腐食メカニズムを理解して、電気防食工法に挑みましょう。
鉄筋のマクロセル腐食のメカニズムについてはこちらに詳しく書いています。👇️
🔗 【第2章】劣化の機構(中性化・塩害など8つの病魔の正体)
まとめ:補修・補強は「診断結果の答え合わせ」
最後に、今回紹介した工法の特徴を整理しましょう。
| 工法名 | 現場翻訳(イメージ) | 診断士の視点(試験のポイント) | 主な対象となる劣化 |
| ひび割れ注入・充填 | 骨折の注射・接着治療 | 活き・死にの判断が命。 動くひび割れに硬いエポキシ樹脂はNG。幅0.2mmを基準に注入か充填かを選択。 | ひび割れ全般 |
| 断面修復 | 虫歯のドリルと詰め物 | 下地処理と付着強度が命。 劣化部を完全にはつり落とし、ポリマーセメント等で修復。工事量が最も多い王道工法。 | 中性化、塩害、凍害、火害などによる欠損・剥落 |
| 表面被覆 | 肌を守る高機能コーティング | 劣化因子を外側からシャットアウト。 防ぎたいもの(水、炭酸ガス、塩分)によって塗料の材料を使い分ける。 | 中性化、塩害、化学的侵食 |
| 表面含浸 | レインコートとカルシウムサプリ | シラン系とけい酸塩系の違いが超頻出。 シラン系は「水弾き(塩害予防)」、けい酸塩系は「内部の緻密化」を狙う。 | 塩害(シラン系)、微細なひび割れ(けい酸塩系) |
| 補強(巻き立て) | 骨折後のギプス固定 | 施工環境と重量の増加に注目 RC(太い・重い)、鋼板(重い)、炭素繊維(軽い・熱に弱い)の長所・短所を比較。 | 耐力不足、ASR等による著しい強度低下 |
🔗 第4章(評価・判定)と第5章(補修・補強)を繋げて理解すると最強
例えば
- 中性化が進んでいる場合
断面修復+表面被覆で中性化の進行を完全に止める。 - 塩害が進んでいる場合
断面修復+含浸材(または電気防食)でサビを抑え込む。
このように、診断→評価→補修という「一連の流れ」として頭に入ると、難解な記述式問題でも自然と説得力のある答えが書けるようになります。
これまでの知識を総動員して、最適な「処方箋」を出せる診断士を目指しましょう!
📝 コンクリート診断士・完全攻略シリーズ(変状・劣化・調査・評価)
確実に合格を掴み取るための知識を、図解と例え話で分かりやすく詳細にまとめています。スキマ時間の復習にぜひご活用ください!
- 🔗 【第1章】変状の種類と原因(ジャンカ・ひび割れ等を現場翻訳!)
- 🔗 【第2章】劣化の機構(中性化・塩害など8つの病魔の正体)
- 🔗 【第3章】調査手法(非破壊検査機器と弱点を見破る!)
- 🔗 【第3章番外編】マニアックな配合推定とハイテク機器分析(DNA鑑定や細胞レベルの検査)
- 🔗 【第1章〜第3章】コンクリート診断士の変状/劣化要因/調査手法のまとめ
- 🔗 【第4章】評価と判定(コンクリートの「最終診断」)
- 🔗 【第5章】補修と補強(寿命を延ばす「外科手術」と「特効薬」)←今ここ
- 🔗 【第6章】道路橋・トンネルの維持管理と技術基準(「定期健診」と「過去のカルテ」)←次回公開予定
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👇コンクリート診断士過去問問題集(コンクリート診断士_2026年版)
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